2013年は、パソコンのメモ帳を確認したところ232本の映画を鑑賞したことになっている。

その中で、本当に面白いと思った映画は意外と少なくすんなり10本に絞ることができた。本当に面白い映画というのは、当たり前の話だが最終的にはその人の好みになってしまう。

だから、この中の作品で、『え?なんでこんな映画がベスト10なんだ!?』という声があるのは、当然のことだし、その質問に関しては”好きだから”としか答えようがないのだ。

しかしながら、『好きだから選びました』では何の説明にもならないので、どこがどう好きなのか?ということを作品ごとに手短に書いておきたい。

ちなみに、個人的な好みとしては、基本的にはハッピーエンドで笑いどころが随所に作られていて、しかも何かを考えさせられる映画だ、ということはこの場を借りて明言しておきたい。

10位 25年目の弦楽四重奏

人間関係での裏切り、愛に敗れたせつなさが冬という季節で表現されている演出は抜群でした。また、パーキンソン病と診断された主人公を描きながらも、病気モノを扱った暗い映画ではなく、コメディ的要素がかなり盛り込まれていたので、とても楽しい映画でした。

9位 LOOPER ルーパー

SFなのに、めちゃくちゃ未来という設定でもなく割とアナログな要素も残してある点が説得力があり、良かった。また、未来の自分を殺す、という設定も新鮮味が感じられた。

8位 鑑定士と顔のない依頼人

エンディング前、ラスト10分の大どんでん返し!このまったく予想外の裏切られ方には本当にビックリした。また、ミステリーながら人間ドラマ、恋愛要素、老人の孤独を描いている現代性もあり、とても良い映画でした。

7位 そして父になる

もう、福山雅治の冷たさとリリー・フランキーの能天気なダメ親父ぶり。この180度違う家庭環境の設定がとても良かった。

6位 恋の渦

女が男に決して見せることのない裏側を描いたエンディングシーンは、女性不信にさせられてしまうくらいの説得力があった。同監督の『モテキ』よりも本作の方が気に入りました。

5位 ライジング・ドラゴン

もう、何といってもジャッキー・チェンの体を張ったアクション。特に全身ローラーブレードスーツ姿でのカーチェイスシーンには、度肝を抜かれた。58歳という年齢を考えれば、神がかり的な映画で、エンドロールの時に出てきたNG集も、かなり笑えた。これがアクション映画としては、最後とは言わずに、次回作もあることを心から期待したい。

4位 ばしゃ馬さんとビックマウス

シナリオライター志望の主人公の女性がいかに、その夢を諦めるのか?という、今まで観たことがない種類の話で、“夢を追いかけることの毒性”について考えさせられる内容だった。決してハッピーエンドではないが、大傑作でした。吉田恵輔監督の作品はこれからも、すべて追いかけようと思う。

3位 31年目の夫婦げんか
一組のセックスレスの老夫婦がセラピストにカウンセリングを受けに行く、という話なのだが、この二人に無理難題を与え夫婦関係を改善させていく流れがとても笑えたし、鑑賞後とてもイイ気分で試写室を後にすることができた。ここまで声を出して笑った映画も珍しい。特に映画館でのシーンには大爆笑した。浜辺での結婚式のシーンの映像がとても綺麗でした。

2位 危険なプロット
そもそもオゾン作品が好きということもあり、大いに期待をして観に行ったところ、それをはるかに上回る出来だったので、とても驚かされた。

特に、エンディングシーンの美しさは、映画史に残るレベルの素晴らしさで、ストーリーも先生と生徒の師弟関係が崩壊していく様が滑稽に描かれていて、とても面白かった。

1位 中学生円山

中学生のありもしない妄想を忘れてしまった大人に問いかけているような作品で、“妄想が現実を超えた時それは真実になる”というセリフは今でも耳に残っている。

実はクドカン映画で今まで面白いと思ったモノは一本もなく、そのグチャグチャした世界観や奇抜な演出がとても苦手だったのだがここまでクドカンの味がハマった作品は後にも先にもう出てこないだろう。

クドカンの作品を自分がこんなに気に入るなんてまったく予想外だったり、その魅力が初めてわかったので、1位にした。ブルーレイが1月に発売されるらしいので、それをぶっ壊れるまで観ようと思う!

(選/文 小野義道)