ミッション:8ミニッツの画像

予測不能!才人監督の手腕に酔いたい
『月に囚われた男』でセンセーショナルな長編映画監督デビューを飾った鬼才ダンカン・ジョーンズ監督の二作目が、『ミッション:8ミニッツ』だ。『月に囚われた男』は一度見たら忘れられないほど個性的で異色な、どんでん返しのSF映画だった。『ミッション:8ミニッツ』もその点は同じ。前作の成功を受け予算が増えたのか、前作とは比較ができないほどお金をかけて作られている。(それでも普通の映画よりはかなり抑えて効果的に使われているようだ)

それはさておき、内容だ。詳しく知ってしまうと、見たときの驚きと面白さがかなり減ってしまうタイプの映画なので、見る前の情報取得は最低限にしておくこと。あえて言ってしまうと、『バタフライ・エフィクト』と『恋はデ・ジャブ』をミックスし、『アンストッパブル』などの列車映画の要素もプラスされている。アクションファンが満足できるシーンもたっぷりある。

映画通だったら、最初のシーンでその後の映画の流れが予測できるだろう。それも、ひとつの大きな謎が解かれるまでだ。その後は全く予測不能。スリリングかつ心打たれる展開になっていく。

感動の理由は、不可能に近いミッションを託されてしまう主人公にある。そうするしかないにしろひたむきに前進していく姿と決断力が胸を打つ。『マイ・ブラザー』や『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』でたくましさを増した、ジェイク・ギレンホールの熱演が光る。ヒロインも秀逸。

ヒロインを演じるのは対照的な美熟女の二人だ。列車で同乗している女性を演じるのは、ミシェル・モナハン。普通だけど、キュート、隣のお姉さん的キャラクターを演じさせたらピカイチの彼女の良さが映画を支えている。

ミッションを支える軍人の一人を演じているのが、ヴェラ・ファーミガ。いつもなら美しさと色気で観客を悩殺してしまう彼女だが、今回はそれを抑えてクールに軍人を演じ主役をサポート。

ラストはあれでいいのだろうかと論議を巻き起こしたらしいが、これ以上の結末はないと思う。見なかったことを後悔しないように、ぜひ劇場で見て欲しい。
『ミッション:8ミニッツ』
オフィシャルサイト http://disney-studio.jp/movies/mission8/

(オライカート昌子