『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』映画レビュー

CHEF仕事をするときに、あなたはどんな風に仕事をしているだろう。早く終わらせなきゃ。この仕事の結果はどうなるだろう? そんな風に考えているならつまらないし、ストレスだ。では、どのように仕事をすればいいのだろう。

それを教えてくれる映画が、『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』である。革新的な料理をすることで有名だったシェフ。ところが、ネットの料理評論家に悪評を書かれてしまう。思い通りのフレッシュなレシピ料理を味わってもらったわけじゃない。レストランのオーナーが、直前にやってきて、いつものおすすめコースを出すように指示したから。仕方なく、10年そのままの料理を出してしまった。そのために、ひどい批評を書かれてしまったわけだ。

結果として、彼は頭の固いオーナーのレストランを辞職することになる。決してメニューになることはないとわかっていても、キッチンに立って、いつも新しいレシピを試していた。仕事がなくても、美味しい料理の研究に余念がなかった。料理は、人生の喜びだからだ。

映画は、徐々に、父親と息子の関係や、ツイッターやインターネットでの宣伝や、アメリカ南部の観光案内的なストーリーになってきて、それはそれで面白いのだけれど、やっぱり一番心に残るのは、料理への愛。言い方を帰れば、仕事への愛だ。仕事への愛さえあれば、やってもやっても、疲れることなく、やればやるほど、エネルギーが沸く。

監督・脚本・製作・出演をつとめたのは、『アイアンマン』シリーズなどの監督として有名なジョン・ファヴロー。彼は仕事への愛、つまり映画作りへの愛を、料理の世界に託して描いているのだと思う。女性キャストが、スカーレット・ヨハンセンやソフィア・ベルガラで、きれい過ぎるし、やたら理解がありすぎるのはご愛嬌だ。

ところで、仕事に対する心構えだが、どうしても好きになれない仕事もあるだろう。そんな場合は、エンドタイトル中に流されるシーンを参考にして欲しい。サンドイッチの切り方を指導されるところだ。「世界には、このサンドイッチと、ナイフしかない。世界の命運は、君の切るサンドイッチにかかっている。もし切り損ねたら、世界は終わるんだ。そういうつもりで」はい、わかりました、と思わずこくんとうなづきたくなってしまった。
   
(オライカート昌子)

シェフ 三ツ星フードトラック始めました
公式サイト http://chef-movie.jp/