『アベンジャーズ・エイジ・オブ・ウルトロン』映画レビュー

(C)Marvel 2015
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『アベンジャーズ』シリーズには、万華鏡のような魅力がある。どの観点から見ても、期待を十分に満たしてくれる要素が詰まっている。アクションの迫力、ストーリー、チームプレー、一人ひとりの個人の魅力。そしてマーベル・シネマティック・ユニバースの目玉としても。

最新作『エイジ・オブ・ウルトロン』でも同じだ。すっかりお馴染みになった、アベンジャーズのメンバーたちとの再会も嬉しい。社長ことアイアンマンのトニー・スターク、キャプテン・アメリカこと、スティーヴ・ロジャース、ソー、ハルクことブルース・バナー、ナターシャ・ロマノフことブラック・ウィドウ、クリント・バートンことホークアイ。

ヒーローだという理由で、アベンジャーズとなった彼らは、最初から仲間だったわけではない。共闘も二度目となると、自然に心許すようになってくる。そのあたりの雪解けムードもみどころのひとつだ。だが逆に、仲間意識こそが、彼らを狙う危険要素にもなってしまう。

よかれと思ってしたことが、かえって悪い方に向かってしまうのは、よくあること。スカーレット・ウィッチによって、アベンジャーズ滅亡の幻影を見せられたトニー・スタークは、平和維持のために秘密裏にウルトロンを開発する。

だが、それが悪い結果をもたらすことになる。人工知能とアイアンマン軍団と同じ鋼鉄の身体を得たウルトロンは、平和のためには、争いを起こす人類は不要と、アベンジャーズの前に立ちはだかってくるのだ。

ダイナミックなアクションシーンの合間には、人間ドラマが描かれる。その主役は、単独映画を持っているアイアンマンやキャプテンやソーではない。ロマノフとバナー博士の淡い恋模様や、バートンの持つ秘密の生活の暴露などが描かれる。それが、映画にちょっとしたゆとりと豊かさを与えている。

とは言っても、最大限に魅了されるのは、マーベル・シネマテック・ユニバースの世界観で起きる、連続ドラマ的要素かもしれない。彼らが冒頭で小国ソコヴィアで戦うのは、シリーズではお馴染みのヒドラ党であり、そこで見つけるロキの杖についているのは、インフィニティ・ストーン(ジェム)である。

ひとつの映画だけで全ての謎が明かされるわけではなく、謎は謎を呼び次の映画に引き継がれていく。だからこそ、マーベル・シネマティック・ユニバースの次回作(「キャプテン・アメリカ : シビル・ウォー」(原題)全米公開2016年5月)が、待ち遠しくなるし、シリーズの以前の作品も、もう一度見たくなる。

(オライカート昌子)

アベンジャーズ・エイジ・オブ・ウルトロン
オフィシャルサイト http://marvel.disney.co.jp/movie/avengers.html