ブラッド・ピットが、実在の野球チームマネジャーを演じた『マネーボール』を引っさげて、2年ぶりに来日しました。記者会見の模様を完全リポートします。

『マネーボール』は非常に誇りを持っている作品

ブラッド・ピット会見ブラッド・ピット:今日はありがとうございます。『マネーボール』という作品を持って日本に来れたことにとても興奮しています。『マネーボール』は、非常に誇りに思っている作品です。とても楽しんでいただけるのではと思っています。

質問:昨日のプレミア試写でたくさんの観客の感想を聞きましたところ、一番多かったのが、今まで野球に興味がなかったけれど、とても面白かったという声でした。そのことについてどう思いますか?

ブラッド・ピット:まずは告白しなければならないのですが、僕もあまり野球を知らないでこの作品をつくりました。野球界は、この映画の背景としてあるものですが、正義の話でもあります。負け犬などとレッテルをはるのはどういうことなのか、そして失敗や成功など価値観を持つことは正しいのかどうか、それを探る映画でもあるのです。

質問:野球はオリンピック競技から外されたり逆風が吹いていると思いますが、正しいアプローチをするとこんなに面白いんだと勝利が手に入るんだと証明したと思います。また、演じられたビリーが試合を見ないようなジンクスが描かれていましたが、ブラッドさんも何かジンクスをお持ちですか?

ブラッド・ピット:野球にはマジックがあります。まさに人生そのものドラマのような。だからこそ100年以上と続いてきたと思います。ケン・バーンさんの野球についてのドキュメンタリーを見ていらっしゃらなかったら、ぜひ見てください。素晴らしい映画です。

ビリー・バーンの場合は、ジンクスとはいえないと思います。彼は試合を見てしまうとあまりにも感情移入をしてしまうので、後で冷静な分析ができない危険をはらんでいた。だから試合を見なかったのです。

マネーボールの画像でも確かに野球の世界にはジンクスがつきものですね。それは面白いと思います。僕はジンクスというようなものをあまり持っていないのですが、あえて言えば、ひとりで飛行機に乗る場合は、家族の何かを持って乗るようにしていますね。

成功は敗北につながり敗北は成功につながる

質問:今世界は大きなお金の世界に翻弄されています。ビリーは、メジャーリーグの莫大な金が力を持っている世界で、人の力で勝っていったと思うのですが、ビリーが絶対的なお金の力に勝てた理由は?

ブラッド・ピット:ビリーは勝ちにこだわるというより、相手の給料、資金力が大きくても、同じ土俵に上がり競争相手でい続けることにだわったんだと思いますね。大きな資金力を持つ相手は強く、そんな相手と戦うことは、不公平ですが、そこからビリーはいかに勝つかを考え始めます。

150年続いたルールやスカウティングの決め方は果たして今も通用するのか? いまもそれでいいのか。成功と敗北はどうやって決まるのか?そうすると、今までのあり方に欠点が見つかっていきます。それを使ってビリーは、今まで価値がないとされていたプレイヤーに価値を見出していく、発掘していくのです。

この映画はまた、人間の価値観についても描いています。よくレッテルを貼られるという言葉がありますが、他人から植え付けられた価値観があります。自分もその価値観によって左右されてしまい、自分の本当の価値を見出せなくなってしまうことがあります。レッテルを貼られ、今まで価値のない選手だと言われていた選手が、実は価値がある。ビリーは、そういうことを発見していきます。

ブラッド・ピット会見画像たしかに世界経済など、本当にお金が支配している世の中だと思いますが、ビリーはとにかくその瞬間瞬間の成功で全てが決まるのではないということを重要視しています。僕も時々感じることなんですが その成功が次の敗北に繋がることもあるのです。

でもその敗北というのは、そこから学んで実は次の成功に繋がるのです。ひとつの出来事で全てが決まるわけではない。続いているんです。よく瞬間だけを見て、彼は負けなんだとか、あの人は成功者などといいますが、そういうことではない。継続性を考えないのが、今の価値観の欠点だと思います。

ビリー自身が求めている彼の勝利に関しては、トロフィーでもなく、新聞の見出しになるようなものではなく、内的に感じた”私”的なものです。そこに僕は個人的に非常に魅了されました。その謙虚なところに深い尊敬と敬意を表します。

日本人の生きる姿と努力にインスピレーションを受けた

質問:ビリーと娘さんの姿にとても感銘を受けました。ブラッドさんは家族を持ったことで変化はありましたか?

ブラッド・ピット:家族をもったことで僕はとても影響を受けました。日々戦い、挑戦に向かっているわけなんですけど仕事場を離れ、いざ家族のもとに戻るとほっと一息とれる。とても貴重な存在です。

質問:失業率が下がる今、若い人に映画の中でGMを演じる立場として何を伝えたいですか。

ブラッド・ピット:この映画のテーマであることですが、まず常識とされていること、仕事場でも失業率に関しても例えば選挙でもなんですが、そういうシステムが果たしてそれでいいのかと、疑問をもつことが大事だと思います。たとえば、今車を発明するとしたら、燃料は石油にするのか、でもそれは環境破壊になるから止めよう、と考えますよね。ラップトップやipodなどがありますからね。

アメリカのシステムは今うまく機能していない。企業の利益などが優先され、我々は損をしている場合もあります。非常にフラストレーションを感じるからといって、戦って一瞬だけ発散するのではなく、一番重要なのはシステムの問題を根本的に理解すること、そして解決策を見出すことです。それを必死にやることですね。何か悪いというなら、それを直す方法を考えていくことだと思います。

ブラッド・ピットさんの元へ吹石一恵さんが応援に駆けつけました。
ブラッド・ピット:これまでこの映画の深刻な部分を語ってきましたが、そんなにシリアスなものではなく、驚くほど笑える部分もたくさんある映画なんですよ。僕はこの映画を、本当に本当に楽しみました。皆さんもきっと楽しんでいただけると思います。そんなに重い作品ではありません。

野球のファンの皆さんには、こんなに美しい映像みたことないと感じると思います。それはベネット・ミラー監督のおかげです。そして、SPEの会長エイミー・パスカルさんには、心から感謝を感じています。他のプロデューサーだったらこのプロジェクトを諦めてしまうような状況でも粘り強く続けてくれて、こういうかたちで公開することができました。本当にありがたく感じます。

最後に、東日本大震災で被災された皆さんに心からお見舞い申し上げます。皆さん一生懸命復興している姿はとても価値があり、インスピレーションを受けています。僕は世界中の色んなところに行きますが、世界中で常に日本の粘り強さ、努力の話を聞きます。絶対忘れていません。みなさんの生きる力、復興にかける思いにとっても影響されています。(ここまで)

ここで映画にとても感銘を感銘を受けたという吹石一恵さんが花束をもって登場。吹石一恵さんのお父様は元大阪近鉄バファローズ選手であり、現在東北楽天ゴールデンイーグルスのチーフスカウトをされている吹石徳一さんです。

ブラッド・ピットさんの作品へかける思いが深く伝わってきた会見でした。『マネーボール』11月11日(金)より公開中です。

『マネーボール』
オフィシャルサイト  http://www.moneyball.jp/
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
11月11日(金)より、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

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