スカーレット・ヨハンソン来日『ゴースト・イン・ザ・シェル』会見レポート

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日本の漫画/アニメーションの金字塔『攻殻機動隊』のハリウッド実写版、『ゴースト・イン・ザ・シェル』のキャスト、スカーレット・ヨハンソン、ビートたけし、ピルー・アスベック、ジュリエット・ビノシュ、そしてルパート・サンダース監督が来日、会見を開きました。その模様をレポートします。

怖気づく部分があった


みなさんのご挨拶のあと、それぞれが映画に出演したことの感想を聞かれ、主演で少佐の役を演じる、スカーレット・ヨアンソンさんは「当初、素材をいただき、アニメーションを拝見したときには、はっきりと見えていなくて、怖じ気付くようなひるむ部分がありました。夢のような場面があったり、人間の存在について描かれていたりして、自分はこのキャラクターの中にどう入っていけるのかのかわかっていませんでした。興味はありましたが。

ですが、監督と話したり、長いこと集めて資料をみせていただいて、彼が考えている世界観や、原作に対する敬意を知りました。そして私が演じる少佐の体験や人生の見方や存在について会話をしました。そうすると自分の中に否定できないものがありました感情的にも肉体的にも、いろいろありましたが、このキャラクターが映画の中で成長していくのと同時に自分も成長できた作品でもあります」と答えました。

迫力とディティール

ビートたけしさんは、「ふつうは原作アニメや万があると、実写版映画が作られても、絶対負けている面がある。今回は、この原作漫画と同世代の人に聞いても、凄いと言うことで、忠実な上、新しいものができている、もしかしたら漫画原作の最初の成功した例になるのではという意見があった。自分でもそのぐらい見事な作品ではないかと思っている。現場でもいかに監督がどれだけこの作品にかけているかということもよくわかったし、大きなスクリーンでみていただければ、いかに迫力があって、ディティールまでこだわれるかわかると思います」と答えていました。

ピルー・アスベックさんは、「日本から生まれた素晴らしい物語に参加できた感想ですが、キャラクターがとても愛されている。ファンの期待を裏切られないと思いましたが、素晴らしいチームに恵まれて、そんな不安も吹き飛びました。楽しめましたし、攻殻機動隊のファンだからです。出会ったのは、アニメがヨーロッパで人気になったとき、僕は14歳の時でした。テーマは自分探しというものがあったと思いますが、当時の僕もそれで共感しました。今回のお話があったとき、原作マンガを手に取っていたのですが、最初はこの役は、軍人で年上、僕は若いし、あまりあっていないんじゃないかと思いました。ですが、またマンガを読んだら、ビールとピザが大好きというところが僕と同じでキャラクター作りができました」と答えていました。

プレッシャーの中で仕事をするのは好き

ジュリエット・ビノシュさんは「脚本を最初に読んだときには、全く意味が分かりませんでした。SFというジャンル自体になじみがなかったということもあります。子供が映画関係の仕事をしていまして、3Dの特殊技術の分野なんですが、この脚本を読み、いろいろ説明をしてくれて、これは本当に素晴らしいので、絶対出演した方がいいよと勧められました。ただ難しい内容で、独自の暗号のような言語が使われたりもしていて、喧嘩をしたわけではありませんか、監督とかなり熱気のある話し合いもしました。現場はとても刺激的で素晴らしい競演者に恵まれまして、朝仕事へいくと、みんながんばっていて、監督は面したにクマを作って、昼夜を通して働きづめなんだなと。国際的なアーティストたちとスタッフたちも一丸となってこの作品に取り組んでいて、素晴らしい活気がありました。わたしが演じる博士は、とても多層的なキャラクターで、企業の中で働きながら、人間的な部分も保とうとしていて、自分自身の人間性というものにも向き合っていて、とっても演じがいがありました」と答えていました。

監督は、「映画作りをするということはとてもプレッシャーがあるものなんです。大きい映画でも小さい映画でも。でも今回は、とても多くの人が世界中にファンとしています。ここにいるキャストの人たちは、わたしから、ぜひとも参加して欲しいと説得したということもあります。クリエーターの人たちもそうです。とにかくいい物を作らなくてはという気持ちがありました。ただ、そういうプレッシャーの中でしごとをするということは、かなり好きなほうで、もう狂気の中をさまよっているようなときもありましたが、今はすべてやりつくしたという気持ちです。まるで戦場のような状態からここまでたどり着いたわけなんですけれど、世界中の人々の心に響くものを作りたい、みなさんが見たことのないようなジャンルで新しいものを作って多くの人に見てもらいたいと思っています」と答えていました。

ビートたけしさんは、ハリウッド映画と日本映画の違いを聞かれ、監督として取り入れるとしたら? 自分が映画を撮るときは、簡単にワンテイクが多いんですけれど、ハリウッド映画は、カメラの台数が違う。ただ歩くシーンだけでも、何回でもやります5カメ使って、何回も撮る。「ベリーグッド。ワンモア」次は「エクセレント! ワンモア」、「ジーニアス、ワンモア」とお金を賭けてるね」と答えていました。

不快の中に自分をとどめる

スカーレットさんは、新しい自分を発見したというのはどういうところ? と聞かれ「それは個人的な質問ね。私は仕事をやる場合、心地よくない、不快に感じる状況に自分をとどめておくことがあります。その不快感というのは物理的なものでもあるし、、恥ずかしさの気持ちの面もあります。重さであったり。そしてそれから自分がどういうことをしていけばいいのか、どういう風に感じていけばいいのか、できることをしているんですけれど、俳優として、そういう(不快感)のようなものを、いい意味で利用していく。

また深く掘り下げて行って、本能的な部分まで、何が本物で、芯の部分にあるのかを見極め、そこから何かに通じていけるようにしています。キャラクターを演じるときには、そういうものを使っていく。このキャラクターは、存在という意味で、危機に瀕している。その彼女を5ヶ月間演じていくことで、決して心地いいものではないということです。そしてそれをどう乗り切っていくのか。この役を演じることは困難でしたが、これを通じて成長できたと思います」と答えていました。

漫画/アニメ作品を実写化する上での戦略は? と聞かれ、ルパート・サンダース監督は、「この作品を作ることは大きなチャレンジで、様々な困難がありました。まずアニメーションでは簡単にできることが、実写になると非常に難しい。例えば、、バトーの義眼だったり、荒巻の髪型だったり、少佐のボディスーツなどは一歩間違えれば滑稽になってしまいます。

また、日本映画を意識したカットを取り入れてみたり、黒澤明監督の『酔いどれ天使』とリドリー・スコットの『ブレードランナー』を合わせたような世界観をつくりあげるというチャレンジもしました。ポップコーン映画ではなく、観た後にディスカッションできるような、それぞれに考えてもらえるような映画にしたかったんです。スカーレットが素晴らしい演技をみせてくれました。そして、技術革新が進む中で何間たらしめるのかというテーマは、原作の士郎正宗さんがパイオニアだということも改めて伝えたいです。」と答えていました。

『ゴースト・イン・ザ・シェル』は、4月7回(金)より公開中です。

(取材/文 オライカート昌子)

ゴースト・イン・ザ・シェル
2017年 アメリカ映画/SF/アクション/120分/監督:ルパート・サンダーズ/出演・キャスト:出演:スカーレット・ヨハンソン(少佐)、ビートたけし(荒巻大輔)、マイケル・カルメン・ピット(クゼ)、ピルー・アスベック(バトー)、チン・ハン(トグサ)、ジュリエット・ビノシュ(オウレイ博士)、ラザラス・ラトゥーリーほか
/配給:東和ピクチャーズ
4月7日(金)全国公開
『ゴースト・イン・ザ・シェル』公式サイト http://ghostshell.jp/