映画を観ることは、もうひとりの裡なる自分と向きあうことだ。
儚い生命に実直に不器用にしがみつくことで、その美しさ、尊さを照射し(『BPM』)、繰り返される人間の愚行に、それでも希望を手放さず(『祈り』)、思いがけないアイデンティティに、戸惑いつつも凛とそれを自覚する初々しい感性(『マッド・メアリー』)。

銀幕に映し出される誇り高き“顔たち”、その何ものにも屈せず偏見を撥ね退ける逞しい気概に、私の心の柔らかな何かが刺激され、愛おしさの実感で満たされる。
年齢を重ねてなお、湧きあがる好奇心で触発された新たな自分とめぐり逢えた歓びを記憶に刻み続けよう。

2018年ベストテン

1位.BPM ビート・パー・ミニット

2位.祈り

3位. マッド・メアリー

「EUフィルムデーズ2018」にて上映

4位. 顔たち、ところどころ

5位. マルヴィン、あるいは素晴らしい教育
「フランス映画祭2018」にて上映。

6位. 若い女

7位. 女は二度決断する
8位. 僕の帰る場所
9位. おかえり、ブルゴーニュへ
10位.旅するダンボール

(文・選/増田統)