ジェイソン・ボーンの画像 (C)Universal Pictures/caption]

マット・デイモン主演のジェイソン・ボーンシリーズは、アクション映画の見せ方を変えたと言っていい。ダグ・リーマン監督が担当した一作目の『ボーン・アイデンティティ』(2002)、そしてポール・グリーングラス監督が担当した『ボーン・スプレマシー』(2004)と『ボーン・アルティメイタム』(2007)は全て評価も高く、興行成績も大きな成績を収めた。

シンプルで素早い動き。肉体感覚溢れるアクションは、スタイリッシュで一種恍惚感を与えてくれた。シリーズの成功後には、似たような動きで見せる映画が増え、007シリーズにも影響を与えた。ダニエル・クレイグ版の『カジノ・ロワイヤル』(2006)を見れば一目瞭然だ。

マット・デイモンに代わって、ジェレミー・レナー演じるアーロン・クロスが主人公の『ボーン・レガシー』(2012)が作られたときには、もうマット・デイモンのボーンを、再び見ることはできないと思っていた。『ボーン・アルティメイタム』から9年も経っているのだから。

その間、マット・デイモンはコメディからアクションまで幅広い演技を見せてくれていた。ジェイソン・ボーンに関しては、『ボーン・アルティメイタム』のラストで一人去って以来、何をしているのかは全く謎だった。今回の映画で描かれたところによると、ずっと人目を避けながらも戦いの日々を送っていたらしい。楽しそうとは思えない生活だ。

彼が今回、表舞台へと姿を現すきっかけになったのは、元同僚ニッキー(ジュリア・スタイルズ)から連絡があったからだ。CIAを退職していたニッキーは、ハッキングして、CIAの極秘情報を入手。その中には”トレッドストーン計画”やボーンの父の情報も含まれたいた。二人はギリシャのアテネで接触するも、CIA長官のデューイ(トミー・リー・ジョーン)に追跡され、暗殺者を送り込まれる。大掛かりなデモが繰り広げられているアテネからベルリン、そしてラスベガスへと舞台を変え、ボーンは謎に挑んでいく。

鮮やかで畳み掛けるアクションの連続は、『ジェイソン・ボーン』にも受け継がれている。ただし、ボーンシリーズの斬新なアクションは、今となっては映画界の隅から隅まで行き渡ってしまっていて、決して珍しいものでもない。本家が再登場したからには、新たにボーンシリーズならではの何かがあってほしいところだ。例えば、年をとり渋みを増したマット・デイモンの円熟の魅力など。

今回注目したいのは、ボーンシリーズにおける女性キャラクターの独特な扱い方だ。ボーンシリーズでは、女性と男性の役割に違いはなく、悪にもなるし非情にもなる。悲惨な最期も遂げる。それは今作でも同じだ。女性だからといって特別な扱いはない。

だが、それゆえに女性キャラクターの見せる姿に強く哀しみを感じさせられるのも事実だ。女性である部分を可能な限り捨て、男勝りの活躍を見せる今作の二人、ニッキーとリー(アリシア・ヴィキャンデル)もそうだ。そう思うのは私が女性だからだろうか。それとも、ボーンシリーズにしかない特別な何かのせいなのだろうか。

(オライカート昌子)

ジェイソン・ボーン
公式サイト http://bourne.jp/