(C)Universal Pictures
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忠臣蔵がハリウッドで初の映画化となると、それなりに期待する。予告編が初めて解禁されたとき」いそいそと見に出かけ、驚愕してしまった。そういう人は私だけではないだろう。おもしろそうな予告編なのだが、期待とは違っていたからだ。

本編を見るときには、予告編で見たイメージを期待するわけなのだが、47RONINは、そこでまた別種の驚愕があった。47RONINは、私の期待を二度裏切ってくれたということになる。理想的な意味で。

なぜ理想的かというと、予告編を見る前に私が期待したもの、それ以上のものが本編にはあった。忠臣蔵(赤穂浪士討ち入り事件)を、可能な限り(世界公開出受け入れられそうなという意味で)忠実にスクリーンに描き出しているのだ。

モンスターや妖怪が登場してくるものの、許容の範囲内。歌舞伎の忠臣蔵だって、四谷怪談を生み出しているのだから、別にまじめに時代劇をやる必要は全くないない、吉良邸が屋敷でなくて城だろうと、なにの不都合もない。おもしろさもスケールも倍増しているのだから。

ワクワクできてダイナミック。そして武士の精神性を描ききっているところには感動してしまった。描かれている武士の心は極めて純粋で混ぜものなしの美しさで本物。そのあたりの制作陣の姿勢はまじめすぎるほどだ。

残念なのは、スケール感はパイレーツオブカリビアンに匹敵するのだが、決して続編はないということ。そうだよね、忠臣蔵には続きはないのだから。

真摯に抑制の利いた武士を演じきったキアヌ・リーブスのすばらしさは言うまでもなく、真田広之はダブル主演的存在感で大石を演じている。また柴崎コウの美しさも別格だし、謎の女を演じる菊池凛子もスターの貫禄を発揮。大石の息子、力を演じる赤西仁もスクリーンを華麗に彩ってくれた。吉良を演じる浅野忠信は、色悪ならもうちょっと凄みがあってもよかったかもしれない。

衣装デザインが一番問題になりそうなところだが、柴崎コウの現代風コートの下にちゃんと振り袖を着ているらしい。男たちの命を懸けた復讐劇に色恋も絡めて切なさを倍増させている。信念や目標完遂のための生きざまに激しく心が揺さぶられた。今年一年の締めくくりに是非劇場で熱い男たちの姿を目に焼き付けてほしい。(オライカート昌子)

47RONIN
2013年 アメリカ映画/アクション・ファンタジー・時代劇/121分/原題:47 RONIN/監督: カール・リンシュ/出演・キャスト:キアヌ・リーヴス(カイ)、真田広之(大石内蔵助)、浅野忠信(吉良上野介)、菊地凛子(ミヅキ)、柴咲コウ(ミカ)、赤西仁(大石主税)、田中泯(浅野内匠頭)ほか/配給:東宝東和
2013年12月6日(金)より TOHOシネマズ 日劇ほか全国超拡大ロードショー
『47RONIN』公式サイト http://47ronin.jp/