『銀魂』映画レビュー

(C)空知英秋/集英社 (C)2017 映画「銀魂」製作委員会
時代劇なのに、町は天人(あまんど=エイリアン)に占領されていて、テレビも冷蔵庫もマヨネーズもあり、江戸末期でもあり近未来でもある世界観。そこで繰り広げられる剣劇アクションコメディが『銀魂』だ。最初に時代背景を簡潔に説明してくれるので、銀魂について何も知らない人にも親切。漫画で読むよりずっとわかりやすい。アクションと熱いドラマが同時に展開していくのも少年ジャンプ原作映画の醍醐味だ。

冒頭では、主役の小栗旬演じる銀髪の天然パーマ侍、坂田銀時をしつこいほどクローズアップ。続くカフェの場面で、万事屋で働くことになる志村新八(菅田将暉)を紹介、そして黄金のカブト虫編でスムーズに神楽(橋本環奈)、真選組、新八の姉の妙(長澤まさみ)等、登場人物を説明していく。

かぶき町では辻斬りが発生していた。そんな中、銀時の幼馴染で攘夷党のリーダー、桂小太郎(岡田将生)が何者かに襲われ、行方不明に。桂小太郎の相棒で謎の宇宙生物エリザベスが万事屋に相談に訪れ、新八と神楽は、桂の探索をすることになる。そのころ、銀時は別件の依頼で、刀鍛冶の村田兄妹のもとを訪れていた。妖刀”紅桜”が何者かに奪われたらしい。果たして紅桜と辻斬りには関連があるのか。背後にうごめくのは何か。一度は狂剣に倒れた銀時は、仲間を救うため、空飛ぶ船に向かうことになる。

シリアスなストーリーの合間にギャグが挟まれる。『銀魂』独自の、と言いたいところだけれど、福田雄一監督のいわゆる福田組メンバー、佐藤二郎やムロツヨシが醸し出すテンションと空気感の方が強い。笑いのリズムが心地よくて、一瞬、侍アクション映画ということを忘れてしまう。妖剣”紅桜”にというより、『銀魂』が福田組にのっとられているというのが正しい。

ただ、この実写版『銀魂』、ファンが気になるのは、アニメ/漫画の銀魂の世界やキャラクターをどれだけ再現できているかというところだろう。その点は想像以上。主要登場人物の単なるコスプレに終わらず、役を演技力と存在感で具現化しているところに感動させられる。ただし、めちゃくちゃ手抜きの部分もある。エドの支配者であるエイリアンの描写は、苦笑させられるレベル。そこはわざとだろう。どこまでも忠実にリアルに再現することだけがいいわけではない。時にはほっと息つくところも必要なのだろう、何事も。

(オライカート昌子)

銀魂
7月14日(金)より、全国ロードショー!
2017年 日本映画/コメディ・アクション・時代劇/131分/監督:福田雄一/出演・キャスト:小栗旬 (坂田銀時)、菅田将暉(志村新八)、橋本環奈(神楽)、柳楽優弥 (土方十四郎)、新井浩文(岡田似蔵)、吉沢亮(沖田総悟)、早見あかり(村田鉄子)、
ムロツヨシ(平賀源外)、長澤まさみ(志村妙)、岡田将生(桂小太郎)、佐藤二朗 (武市変平太)、菜々緒(来島また子),安田顕(村田鉄矢)、中村勘九郎(近藤勲)、
堂本剛(高杉晋助)ほか
/配給:(ワーナー・ブラザース
『銀魂』公式サイト 

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