ロックアウトの画像
(C)2011 EUROPACORP
いい俳優の演技を見ていると、深い満足感と喜びでつい顔がほころぶ。そんな俳優たちが描き出すのは、どこから見ても完璧な人間そのもの存在感。わたしにとって、そんな俳優の一人が、ガイ・ピアースだ。

ガイ・ピアースが、主演俳優としてきらびやかなスター街道を突っ走っていたのは、かなり前だ。最近は『英国王のスピーチ』や『プロメテウス』、『アニマル・キングダム』などで活躍しているものの、味はあるけど小粒な脇役専門俳優になってしまったのかと思うほど、大規模な映画の主演から遠ざかっていたような気がする。

『ロックアウト』は、そんなガイ・ピアースを久しぶりに主演として起用した、ヨーロッパ発の近未来SFアクション大作だ。ガイ・ピアースは、本心がわからないほど、たわごとばかりをしゃべる元CIAエージェント、スノーを演じている。

ロックアウト サブの画像
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宇宙空間の牢獄の中で起きた暴動に、大統領の一人娘が巻き込まれてしまう。スノーは、彼女を救出する任務を引き受けることになる。だが、彼の意図はもう一つある。

事件の背後にエージェント殺害事件があり、彼はその犯人として宇宙監獄に送られる寸前だったことがひとつ。さらに彼の親友が秘密を抱えたまま、監獄に送られたことを知ったからだ。

映画は主に宇宙監獄での救出作戦をメインにして進んでいく。大掛かりなアクションシーンも満載だし、一人娘が次第に成長し、スノーと凸凹コンビになっていく過程も面白い。だが、エージェント殺害事件は、100%は解決しないままだ。一から十まで説明するのではなく、曖昧なところは曖昧なまま終わるところが、いかにもヨーロッパ的なのかもしれない。

それにしても『ロックアウト』の一番のみどころは、ガイ・ピアースの好演に尽きる。スノーが監獄の窓辺に一人佇むシーンで、映画の中では語られないスノーの人生が浮かび上がってきたような気がした。ガイ・ピアースは、怖ろしいほどの伝える力に長けた俳優なのだ。                        (オライカート昌子)

ロックアウト
11月23日(金)全国ロードショー
公式サイト  http://lockout.jp/