ⓒ2012 DMD PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
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いぶし銀のコリン・ファレルが切なく見せる復讐劇。見逃せない俳優陣に注目

冬枯れのニューヨークを舞台に、切ない復讐劇が幕を開ける。デッドマン・ダウンは、スウェーデン版『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』を監督した、ニールス・アルデン・オプレヴ監督のハリウッド進出映画第一作目。

一番目を引いたのは、豪華なキャストである。ストーリーはネズミ責めも登場するような冷酷非情な復讐譚。にもかかわらず観客に共感を抱かせ、最後まで興味を保ち続けさせるためには、余程の熟練俳優たちが必要になる。

主演のコリン・ファレルは、ギャングの一員ながら、実は裏の顔があるという複雑な役柄、ヴィクターを演じる。繊細かつ大胆に。彼以上にこの役にふさわしい俳優は思い当たらない。ひとつひとつの表情をじっくりと堪能して欲しい。

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個性と美しさと演技力で爽やかな印象を与えるのはドミニク・クーパー。ヴィクターの弟分を熱演している。『デビルズ・ダブル ある影武者の物語』で二役を演じ、『リンカーン/秘密の書』にも出演したイギリス人の若手だ。

テレンス・ハワードといえば、美形アフリカ系で『ハッスル&ブロウ』でアカデミー賞ノミネートされた演技派。『アイアンマン』にも出演し、前途洋々に見えたところでスキャンダルに巻き込まれ、現在は脇役で実力を蓄えているところ。デッドマン・ダウンでは、ギャングのボス役に挑戦している。個人的には、コリン・ファレル、ドミニク・クーパー、テレンス・ハワードの三人が顔を揃えただけでも、絶対見逃せない映画なのである。

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ヒロインのベアトリスを演じるのは、今やハリウッドを牽引するスター女優になったノオミ・ラパス。デッドマン・ダウンでは、顔に醜い傷があり、外では子供たちに石を投げられる、か弱く哀しい女性を演じている。ノオミ・ラパスといえば、強い女性たちを演じて、のし上がってきた女優。ベアトリスは、彼女の一番の得意なタイプとは思えない。が、その演じにくさをベアトリスの不安定性に結実させているように見えるのはさすが。

ベアトリスの母を演じているのは、フランスの名女優、イザベル・ユペール。最初のほうでヴィクターとベアトリスが顔馴染みになるのは、ヒッチコックの裏窓的シーン。ベアトリスの母は、二人をくっつけようと奮闘する、

彼女一人が現れると、復讐の殺伐とした世界が、一気にフランスの田舎ののどかな風景に呑み込まれていくようだ。外国人が次から次へと現れるのも、世界から集まった移民たちの人生がバックグラウンドで流れていると感じさせるのも監督の意図なのだろう。

最後には大掛かりな銃撃シーンがある。復讐を題材にした今までの映画と同じように、デッドマン・ダウンのラストも爽快に終わる。心の傷を映しだすかのような陰鬱な光景が続いていた分、落差があり、新しい人生はいつでも手の届くところにあると、強調しているようにも思えた。     (オライカート昌子)

デッドマン・ダウン
2012年 アメリカ映画/サスペンス・アクション/118分/原題:DEAD MAN DOWN/監督:ニールス・アルデン・オプレヴ/出演・キャスト:コリン・ファレル(ヴィクター)、ノオミ・ラパス(ベアトリス)、ドミニク・クーパー(ダーシー)、テレンス・ハワード (アルフォンス)イザベル・ユペールほか/配給:プレシディオ
10月26日(土)新宿ミラノほか全国ロードショー
『デッドマン・ダウン』公式サイト http://deadmandown.jp/