TIME/タイム
(c) Twentieth Century Fox Film Corporation
最近のSFには面白い題材がそろっている気がする。その中でも『タイム』のアイデアは最高だ。お金の役割を担っているのが時間なのだ。労働の対価も時間。その時間をみんなが持ち運ぶ。腕に埋め込められたストップウォッチが、その人の人生の残り時間を記している。

『タイム』の面白いアイデアは他にもある。時間がお金の代わりになる世界では、遺伝子操作で年をとることがなく、25歳以上の外見の人はいない。だから、ジャスティン・ティンバーレイクの母親をオリヴィア・ワイルドが演じるという離れ業が可能になる。

時間(お金)が有り余っている人たちの住む世界と、一瞬一秒が文字通り命がけの時間貧乏人の世界とが厳密に分けられている。そこから派生して革命を企てる男女の逃亡劇が描かれる。

時間を持っている人々=中身は年をとっている人は、どんどん保守的になり、若い人はどんどん先鋭化していく対比が描かれる。だが、アイデアの秀逸さに比べて、物語や世界観の構築は、物足りなさがある。これに美学や監督独自のこだわりなどがあれば、さらに見ごたえがあっただろう。

TIME/タイムの画像
(c) Twentieth Century Fox Film Corporation
キャストは、やんちゃなイメージのジャスティン・ティンバーレイクが、以外に真面目さをかもしだして、好演。アマンダ・セイフライドの勢いの良さもいい。

時間警察を演じるキリアン・マーフィは、新たな役柄にチャレンジしたところはあるものの、印象がは薄め。ギャングのリーダーを演じるのは、若手注目株の一人、アレックス・ペティファー。『アレックス・ライダー』のころは美少年だったが、いまや貫禄すら感じさせる。

アンドリュー・ニコル監督は、『ガダカ』や『トゥルーマン・ショー』などでもアイデアで喝采を受けている。次のアイデアは何が飛び出すのか、次回作がとても気になる。
(オライカート昌子)

TIME/タイム
2011年 アメリカ映画/109分/監督:アンドリュー・ニコル/出演:出演:ジャスティン・ティンバーレイク(ウィル・サラス)、アマンダ・セイフライド(シルビア・ワイス)、アレックス・ペティファー(フォーティス)、キリアン・マーフィ(レイモンド・レオン)、オリヴィア・ワイルド(レイチェル・サラス)ほか /配給:20世紀フォックス
2012年2月17日(金) TOHOシネマズ 日劇他にて全国ロードショー
公式サイト http://www.foxmovies.jp/time/