ビジュアル的なかっこ良さを追求したマッシュアップ的ヴァンパイアハンター・ムービー

ヴァンパイア映画は、いまや人気ジャンルだ。そうなると自然に個性的な作品も増えていく。『プリースト』の個性は、いろいろなジャンルを取り込んで、ヴィジュアル的なかっこよさを追求し尽くしているというところ。

主役のヴァンパイアーハンター、プリーストを演じるポール・ベタニーがいい。アンドロイドのようにも見える個性的で美しいプリーストは、立っている姿も、動いている姿も様になる。監督のスコット・スチュワートは、前作の『レギオン』でもポール・ベタニーを起用。よっぽどお気に入りなんだろうと思う。

準主役には、カム・ジガンデイ。『トワイライト~初恋~』のジェームズ役、TVドラマ『The OC』、『エクスペリメント』などでも目立っていた。『プリースト』では、ヴァンパイアにさらわれた少女の恋人で保安官役。ブラック・ハット役には、『RED/レッド』、『スター・トレック』、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのカール・アーバン。際立った存在感で作品を引き締めている。女性のプリースト/プリーステス役にマギー・Q。

韓国発のコミックを原作とした世界観も独特。ヴァンパイアと人間の抗争後、ヴァンパイア抹殺のためのスペシャリスト司祭集団、プリーストたちが登場。抗争は過去のものとなったが、人間たちはいまだ高い城壁の中で閉じこもって生活している。辺境の砂漠地帯には、点々と開拓者たちの姿があり、列車が走り、バイクが疾走する、西部劇とSFがミックスした世界で、モンスター的ビジュアルのヴァンパイアたちが復活。

かっこ良さも、秀逸なキャスティングも、世界観も申し分ない。ただしそれだけだとちょっと物足りない部分も感じる。クールさを追求しすぎたのか、時に野暮ったい”熱さ”の加減が足りなかった。 (オライカート昌子

『プリースト』【3D】
2011年 アメリカ映画/87分/監督:スコット・スチュワート/出演:ポール・ベタニー、カール・アーバン、カム・ジガンデイ、マギー・Q、クリストファー・プラマー、リリー・コリンズほか、
オフィシャルサイト http://www.priest-movie.jp/
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
9月、全国ロードショー