ヒミズの画像
(C)『ヒミズ』フィルムパートナーズ
『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』などが国内外で高く評価され、『恋の罪』の公開も控える鬼才・園子温。今、もっとも世界が注目する映画監督だと言えよう。そんな彼の最新作は、古谷実原作の同名漫画を映画化した衝撃作(彼が原作のある題材に挑戦したのは初めて)。尚、本作はヴェネチア映画祭で絶賛を受け、主演の染谷将太と二階堂ふみはマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞した。

園監督の近年の作品の中では比較的上映時間が短い方だが、怒涛の2時間9分 である。観るだけで何百キロカロリーも消費しそうな戦慄のエネルギーがほとばしる。絶望と希望が混在する意識が、「リアル」という言葉では軽く感じるほど生々しく、気分が落ちているときに鑑賞するのは推薦できない。園監督の描く「日常に潜む狂気」は健在だが、今回はいつも以上に「普通」が登場しない。

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(C)『ヒミズ』フィルムパートナーズ
後半、父親を殺した主人公の住田が、街を徘徊中にバスジャックに遭ったり(しかもそこで殺人が起きる)、通り魔に遭遇したりなどの異常な状況が、あたかも日常であるかのように連続して描かれている。観客は、狂気にとりつかれた住田の感情を共有し、彼と共に灰色の世を疾走する。染谷将太と二階堂ふみの猛烈な熱演が凄まじく、撮影中の精神状態が今更心配になるほどだった。

舞台が東日本大震災後の被災地に設定されているが、特にそうでなくても園監督が放つテーマは充分伝わってくると思う。ただラストの感動は、被災した人も含め、絶望した多くの人にもう一度立ち上がる勇気を与えてくれるだろう。毎回すごい世界へ連れて行ってくれる園子温。相当な痛みを伴うので好みは分かれそうだが、私は好きだ。(池辺麻子)

ヒミズ
監督 :園子温
キャスト: 
染谷将太 二階堂ふみ
渡辺 哲 吹越 満 神楽坂 恵 光石 研 渡辺真起子 黒沢あすか でんでん 村上 淳
窪塚洋介/吉高由里子/西島隆弘(AAA)/鈴木 杏

2012年1月14日(土)新宿バルト9、シネクイント他全国ロードショー
製作・配給:ギャガ
ⓒ2011「ヒミズ」フィルムパートナーズ
公式サイト  http://himizu.gaga.ne.jp/

【関連リンク】
ヒミズ レビュー(内海 陽子)

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