パラレルライフ(平行理論)は「パラレルワールド」、「輪廻転生」とは異なり、全くの別人が違う場所や時間軸の中で同様の人生を歩むのです。有名なとこではリンカーンとケネディ米大統領です。

生まれは(前者がリンカーン、後者がケネディ)1846年/1946年、大統領当選年1860年/1960年、死亡した曜日は共に金曜、暗殺犯の生年=ジョン・ウィルクス・ブース1839年/リー・ハーヴェイ・オズワルド1939年、死亡した場所=フォード劇場/フォード自動車、当時の副大統領=1808年生まれのアンドリュー・ジョンソン/1908年生まれのリンドン・ジョンソンでした。

偶然だよと片付けたらそこでTHE ENDですが(笑)、本作はそのパラレルライフに想を得、練りに練った脚本でミステリースリラーの緊迫感が加えられています。

出世街道をひた走る最年少部長判事キム・ソクヒョンと美しい妻と愛らしい娘。誰もがうらやむような家庭に起きた妻の殺害と容疑者の逃走……。30年前に最年少判事だったハン・サンジュンが全く同じ事件に遭遇していたのです。

6日後に起きると予見される自分と娘の死を防ごうとキムはパラレルライフの真相を掘り下げていくのです。凝りに凝った物語は二転、三転とどんでん返し大放出!犯人らしき人物が次々に現れ、ラストは予想だにしない、びっくり仰天の事実が明らかになります。ホントに驚きました!

監督は韓国映画学科に在学中に撮った短編『かくれんぼ』でヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品するなど、早くから才能が注目されていたクォン・ホヨンで、本作の緊迫した演出が長編2作目とは思えない力量を発揮。

このややこしい脚本の映画をスマートに編集したのは、ポン・ジュノ監督の『殺人の追憶』やナ・ホンジン監督の『チェイサー』を手掛けたキム・ソンミン。主人公のキムを演じたのはドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」で日本でもお馴染みのチ・ジニで、本作では理知的な判事が思いもしない運命に翻弄される難しい役をリアルに演じています。また『チェイサー』で連続殺人鬼で不気味な雰囲気を醸し出していたハ・ジョンが脇を固めています。
(中野豊)

■2010年韓国映画/110分/監督:クォン・ホヨン/出演:チ・ジニ、イ・ジョンショク、ユン・セア、ハ・ジョンウ、パク・ビョンウン

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