ハロー!?ゴーストの画像
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「八月のクリスマス」を筆頭に、韓国映画は“難病もの”や“泣ける映画”の人気が高いが、わたしのおすすめはなんといってもコメディーだ。「猟奇的な彼女」で、可愛くて暴力的なヒロイン(チョン・ジヒョン)にさんざん振り回される大学生を演じたチャ・テヒョンは、じつに味のある好男子。本作では、人生に絶望して自殺を図るものの、なかなか死ねない男に扮して笑わせる。
 
なぜサンマン(チャ・テヒョン)は死ねないのか。その問題を考えるいとまもなく、彼の前に奇妙な幽霊があらわれる。へービースモーカーのおっさん(コ・チャンソク)、好色な爺(イ・ムンス)、泣き虫女(チャン・ヨンナム)、うるさくて食いしん坊のガキ(チョン・ボグン)の4人。彼らは願いを叶えてくれなければずっとつきまとうと言ってサンマンを悩ませる。
 
なにしろ実体のない幽霊だから、彼らがやりたいことを叶えるにはサンマンが代行しなければならない。サンマン役のほかに代行として4役をこなすところが、まずはチャ・テヒョンの演技の見せどころ。おっさんのためにスパスパたばこを吸い、爺のためになぜかカメラ捜しに精を出し、泣き虫女が好きな人たちに作りたいという料理作りに汗を流し、食いしん坊のガキのために菓子をやまほど食べる。悪戦苦闘する主人公を笑って高みの見物しながら、いつしか、わたしはこの一団の応援団員になっている。
 
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一見、無関係と思われたそれぞれの幽霊の願いが、ふと気づくと、パズルのピースがきれいに並べられたかのようにひとつの物語をなしている。ここらが非常に気持ちよい。サンマンと幽霊たちのドタバタ・コメディーかと思いきや、すばらしく繊細な情感あふれるオチが待っている。
 
結局、自殺できなかったおかげで、幽霊たちの願いを叶え、すてきなパートナーを得ることができ、生きる歓びを見出すサンマン。巧みなミステリー映画でもあるので、これ以上説明するのは控えよう。しかし勘のいい人はわかってしまったかもしれない。もしそうならごめんなさい。それにしても、エンドロールのスピーディーな謎解きシーンのお茶目で痛快なことと言ったら! 考えてみればこれは “泣ける映画”でもある。韓国コメディーのふところの深さを感じさせる侮りがたい一作。孤独なあなたにおすすめします。
                            
(内海陽子)

ハロー!?ゴースト
2010年/韓国映画/111分/監督・脚本:キム・ヨンタク/主演:チャ・テヒョン 
コ・チャンソク/チャン・ヨンナム/イ・ムンス/チョン・ボグン/カン・イェウォン/提供・配給:ツイン/配給協力:太秦/協力:パラマウント ジャパン
6月9日(土)より新宿武蔵野館にてロードショーほか全国順次公開
公式HP:www.hello-ghost.com

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