キリマンジャロの雪の画像
(C)AGAT Films & Cie, France 3 Cinema, 2011
映画『キリマンジャロの雪』は、一般的なフランス映画とはかなり趣きが違っている。もしかしたら、どんな国のどんな映画とも。監督は、『マルセイユの恋』でもおなじみのロベール・ゲディギャン。『キリマンジャロの雪』の舞台も陽光あふれる港町マルセイユだ。

ごく普通の夫婦が主人公。子供たちは巣立ち、夫婦仲も円満。夫は失業してしまったが、それが大問題になることもない。というのも、夫は組合の長として、人員削減のためのクジを作り、自ら当たりを引いて、自分自身にも失業の宣告をした立場だからだ。

この主人公夫婦に普通の人と違う面があるとしたら、その善良であり続けようとする意思だろう。クジから自分を外すことだってできたのに、そんなズルはしない。

そんな彼らにも大きな試練がやってくる。幸せな日々が突然の強盗の侵入によって乱される。善良とは何か、人間同士のつながりや思いやりの力が試されてしまう。

善き人であろうとするなら、チカラが必要になるのだろうか。時には気負いはかえって人を傷つける。『キリマンジャロの雪』の主人公夫婦は、気負いなく自然体だ。

それでも彼らが善良であるのは事実。善良であろうとするからなのではなく、人間が本来持っているはずのうちに秘めたチカラを自然に浮かび上がらせようとしているところが独特。

ストーリーだけでは描き切れない内なるチカラをちゃんと映像化しているという意味でも映画『キリマンジャロの雪』の暖かさは稀だと思う。
(オライカート昌子)

キリマンジャロの雪
2011年 フランス映画/107分/監督:ロベール・ゲディギャン/出演:アリアンヌ・アスカリッド、ジャン=ピエール・ダルッサン、ジェラール・メイラン、マリリン・カント、グレゴワール・ルプランス=ランゲほか/配給:クレストインターナショナル
2012年6月9日(土)より、岩波ホールほか全国順次公開
オフィシャルサイト http://kilimanjaronoyuki.jp/

キリマンジャロの雪 レビュー その2を読む

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