(C)2012 Disney Enterprises, Inc.
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待ちに待ったサム・ライミ監督の新作は、オズの魔法使いの前日譚。サム・ライミ監督の持ち味でもあるアクの強さや、笑いは少し抑えめ。正統派的ディズニーのファミリー映画に仕上がっている。

サム・ライミ監督らしさがあるとすれば、それは特に前半にある。画面に広がりのない白黒でスタート。カンザス州でドサ回りしている売れないマジシャン、オスカーこと、オズ(ジェームズ・フランコ)の紹介の場面である。

毒と笑いとおとぼけが絶妙にブレンドされ、サクサクと進み心地よい。オスカーが、その場から逃げなくてはならない状況へと陥ると、一転してスリリングなものと変わる。

気球に乗り空へ逃げたかと思えば、竜巻に巻き込まれ、魔法の国に迷い込むあたりの描写は凄まじく、恐怖を感じるほどだ。

そこから、魔法の国の穏やかで美しい世界へと転換し、ファミリー向けの、違った意味での心地よさが描かれる。

仲間との出会いや魔女との遭遇、はじまりの戦いへと進んでいくのだが、サム・ライミ監督の持つ毒は、最小限に抑えられている。

最小限といっても、皆無ではないのが楽しいところ。オスカーをはじめ、魔女たち、仲間たちは人間らしく、いいところも悪いところも余す無く描かれている。オスカーの成長は遅い。良い魔女だって言いたいことはズバズバ言う。陶器の人形は、かなりうっとうしい

クセのあるキャラクターを演じきった主演のジェームズ・フランコはさすがだし、美魔女3人(レイチェル・ワイズ、ミシェル・ウィリアムズ、ミラ・クニス)は華やかに映画を彩る。欲を言えば、個人的に男性キャラクターをもう少し増やして欲しかった。ストーリーの厚みが増したのではないかと思う。(オライカート昌子)

オズ はじまりの戦い
2013年3月8日(金)3D・2D全世界同時公開
オフィシャルサイト http://www.disney.co.jp/movies/oz-hajimari/