(C)2013 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.
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死霊館は、本物志向の実話ホラー。家が醸しだす様々な表情にやられた

『ソウ』、『デッド・サイレンス』、『インシディアス』などのヒット作でホラー界に新風を吹き込んだジェームズ・ワン監督が、新たな代表作を作り上げた。死霊館は、大作がひしめく夏シーズンで、週末興行成績全米一位をおさめたヒット作品だ。

しかも紛れもない実話の映画化。相当怖いのではないかと恐る恐る試写室へ足を運んだ。確かに怖いことは怖いのだが、それ以上にディテールへの目配りとリアルな美術がすばらしく、そっちの方によっぽど驚かされた。

今の時代、怖がらせるには『パラノーマル・アクティビティ』シリーズのようにアイデアや新機軸を打ち出すか、目が行き届いた本物感を一つ一つ丁寧に積み重ね、極限まで高めていく方法しかないのだろう。片方は奇を狙い、もう片方は品質が必要になる。ジェームズ・ワン監督は、後者を代表する監督だ。

事件が起こる家が見せてくれる密やかな変化は、そのこだわりの一つだと思う。まるで家にも人格があるかのようだ。(もちろん人格はある)

最初は、いかにも死霊が潜んでいそうな不気味な家に見える。よくあんな家に引っ越せるよなと思うほど。ところが家族が住み始め、馴染むに連れ、暖かな心地よい家に姿を変える。一瞬、住んでみたいと愛着を感じてしまったぐらいだ。

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その後次第に、家は恐ろしい本性を曝け出し始める。シーンによって、いろいろな顔を見せる様子は、まるで魔性の女のようではないか。

美術がそのようなこだわりを見せてくれる以上、キャストもピッタリとはまっているのは当然のこと。実在した往年のゴーストバスター、ウォーレン夫妻の妻ロレインにヴェラ・ファーミガ。1970年代ファッションを粋に着こなす美しさだが、脆さと気丈さを併せ持った存在感が秀逸。夫のエド役のパトリック・ウィルソンは、ひたむきで真っ直ぐな男を演じさせれば、当代一だろう。

死霊館に住むことになる一家も印象的で、母を演じるリリ・テイラーの迫真の演技、父を演じるロン・リヴィングストンの実直そうな様子も印象的。また、5人姉妹には今後の活躍が期待される綺麗どころを揃えている。

ストーリーの流れもよどみなくスムーズに恐怖を盛り上げてくれる。デッド・サイレンス的な人形が冒頭に出てくるところなど、いかにもジェームズ・ワン作品。ラストに実話の証拠の写真を出してくれるなどサービス精神も行き届いている。

本当に起きた出来事なんだなと実感させられるのは、登場する家族に5人の娘がいるという設定。フィクションだったら娘はせめて4人だと思う。実話はいつもフィクションの斜め上をいく。 (オライカート昌子)

2013年 アメリカ映画/ホラー/112分/監督:The Conjuring/監督:ジェームズ・ワン(ソウ (2004)、インシディアス (2010)、デッド・サイレンス ( (2007)/出演・キャスト:ヴェラ・ファーミガ(ロレイン・ウォーレン)、パトリック・ウィルソン(エド・ローレン)、ロン・リヴィングストン(ロジャー・ペロン)、リリ・テイラー(キャサリン・ペロン)ほか/配給:ワーナー・ブラザース
10月11日(金)、新宿ピカデリーほか公開
『死霊館』公式サイト http://www.shiryoukan-movie.jp/

・『死霊館』映画レビュー (内海陽子)