©2015「リアル鬼ごっこ」学級委員会
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※(内容を知りたくない人は読まないでください)
 登場人物が血潮に染まる映画をたくさん観ていると、血の発色具合で映画の緊張感に差が出ることがわかる。血は乾くとどす黒くなるのに、いつまでもイチゴジャムカラーだと恐怖感もサスペンスもなくなる。園子温監督のオリジナル最新作『リアル鬼ごっこ』はどうかといえば、ひたすら鮮血がほとばしり、その血が乾く間もなく次の殺戮が激しい勢いで展開されるので、観客側は血の発色具合やサスペンスについて思いをいたす暇も与えられない。

「佐藤さん」が殺され続ける映画『リアル鬼ごっこ』シリーズとは異なり、ここでは女子高生が突然に、猛烈な勢いで殺される。修学旅行のバスの中で悪ふざけする女子高生たちが、巨大なかまいたちに遭ったように(?)バスごと胴体をまっぷたつにされてしまう冒頭の殺戮シーンには、ある意味陶然となる。劇画的と言ってしまえばそれまでだが、実にそっけなく、そのぶん潔い。生き残ったミツコ(トリンドル玲奈)が観客の好奇心を背負って一心不乱に逃げる。

 たどり着いた女子高校で、彼女の意識は変わらないままケイコ(篠田麻里子)という存在に変わり、今度は突然キレた女教師たちのとてつもない銃撃から逃げ惑う。その後、なぜか花嫁衣裳を着せられ、豚顔の花婿や結婚式の列席者に襲われる。いつしかランナー、いづみ(真野恵里菜)の姿になり、発狂しそうな恐怖を抱えてなおも逃げる。彼女はどうして立ち止まらないのだろう。

©2015「リアル鬼ごっこ」学級委員会
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 それはこれが悪夢だからか。夢の中では引くに引けずに起きた事象に巻き込まれるものではないか、しかし単なる“夢オチ”なんて、いまどき許されないだろう。それでは妄想か、あるいは予知能力か。映画のスピードに抵抗するかのように浅はかな思考をめぐらせるが、決め手を見出せないまま、映画に引きずられ思いもよらない場所へ連れ去られる。感情移入させられないだけましか。

 待てよ、なぜ感情移入させられないのだろう。それにこの場面転換の唐突さはある種の稚拙さに通じるではないか、これは何かに似ているような……。

  今年は園子温監督作品がめじろ押しだ。すでに『新宿スワン』『ラブ&ピース』が公開され、秋には『ひそひそ星』の公開が決まっている。そんななか、この『リアル鬼ごっこ』は、現在の園子温の生理とスピード感に最も忠実な作品ではないだろうか。どこまでも続く殺戮場面、女子しか登場しない場面設定、意識が乗り移るように“主人公”の姿が変わるという乱暴な進行方法。“ある作家”が好き勝手に想念をはばたかせるとこういう“もの”が出来上がるのか。

  予想外のオチはわりあい情緒的で救いのあるものになった。物足りないというかたもいるだろうが、これぞ園子温のロマンティシズムと受け止めたい。
                             (内海陽子)
 
リアル鬼ごっこ
7月11日(土) 全国ロードショー!
配給: 松竹、アスミック・エース
公式HP:realonigokko.com / FB:facebook.com/onigokkoeiga / twitter:twitter.com/onigokkoeiga