(C)Marvel Studios 2017
『アベンジャーズ』の中でも『マイティ・ソー』シリーズは、重々しいイメージがあった。古代神話を元にしているし、一作目のケネス・ブラナー監督のシェークスピア的感覚が決定的だった。

『アイアンマン』が主役の個性が光るシニカルモード、『キャプテン・アメリカ』シリーズが、古きよき道徳的センスに溢れているのと同じこと。『マイティ・ソー』は荘厳で、ソーの圧倒的な強さが特徴だ。

だがそれも、『アベンジャーズ』二作をはさみながらの三作目となるとお腹いっぱいだ。果たして三作目はどうなるんだろうかと気になっていた。そうしたらやっぱり。今までの重々しさをおちょくるようなコメディセンスあふれる軽め作品になっていた。

一作目、二作目とのカラーの違いは少し問題かもしれない。『ガーディアンズ・ギャラクシー』シリーズもそうだけど、最近の若手監督のやりたい放題な斬新さには驚かされる。

最初のシーンからして、ソーは鳥かご風牢獄に入って揺られている上、独り言を言っている。映画は妙にゆるいムードでスタートする。そのうちにちゃんと話し相手がいることがわかるのだが、その様子は、あれだけの強さを持つ雷神の姿とは思えない。

全体的に、ピントを外しながらの絶妙な間を持ったファンキーで鮮やかさに満ちた楽しい作品になっている。重々しさとは無縁だ。

さらに嬉しいことに、今までコメディパート兼ヴィランの地位を守ってきたロキも抜群の活躍をする。今まで同様の役割であるように見せかけつつ、やがてバディムービーの片割れにしか思えないほどの存在感を持ち始める。このシリーズ、もはやロキがいないとやっていけない。それをしっかりと証明してくれるのだ。

そういう感じで、軽めで楽しい作品ではあるのだけれど、行く先は暗い。まずシリーズ重要登場人物が続々と亡くなる。ソーはジェーンと別れていることも一言で説明される。ソーの一番大切な持ち物も消えてしまう。地球とは無縁に話も進む。

そして、最後にはソーの故郷、アスガルドそのものが存続の危機に襲われる。原題のラグナロクとはそういうことだ。ソーに姉がいて、今まで信じていたことが嘘だったことを知らされることもかなりショッキングでもある。

オフビートな軽さと超ど級の悲劇が持ち味の作品だが、何度も思い出して楽しくなるのが、新キャラクター、ヴァルキリーが、酒を飲みながらフラフラと登場してくるところ。かっこよさとかっこ悪さを同時に体現している。ヴァルキリーとハルクたちとの掛け合いも楽しい。

『マイティ・ソー』シリーズが、三作目でこれだけ脱皮したとすると、次回作の『 アベンジャーズ /インフィニティウォー』が、どれだけ進化するのか、今から気になって仕方ない。

オライカート昌子

マイティ・ソー バトルロイヤル
監督:タイカ・ワイティティ(シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア (2014)
出演: クリス・ヘムズワース
トム・ヒドルストン 
ケイト・ブランシェット
イドリス・エルバ
ジェフ・ゴールドブラム
テッサ・トンプソン
カール・アーバン
浅野忠信     
タイカ・ワイティティ
ベネディクト・カンバーバッチ
マーク・ラファロ
アンソニー・ホプキンス
配給:ディズニー
2017年/アメリカ映画/131分//アドベンチャー/ヒーロー
公式サイトhttp://marvel.disney.co.jp/movie/thor-br.html