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デヴィッド・フィンチャー監督の10作目にあたる『ゴーン・ガール』は、記録的なヒット作品となった。フィンチャー監督作品としても歴代一位であり、主演のベン・アフレックの作品としても同様である。

『ゴーン・ガール』のなにがそんなにおもしろいのか。人気ミステリー作品の映画化であり、二転三転する娯楽的ストーリーの魅力も、そのひとつである。

五回目の結婚記念日の朝、ニックは、妻エイミーの姿がないことに気づく。探し回っても、妻は見つからず、やがて警察、マスコミ、家族、地域の住人を巻き込み、大々的な事件になっていく。失踪一日目から、日付順に描かれていくのだが、次第に夫婦の秘密も暴かれていき、夫も容疑者として疑われることに。

ストーリーは屈折する。思いがけない真相があきらかになったとき、あぶりだされるのは、人間関係のリアルな姿。複雑さ、滑稽さだ。結婚に足を踏み入れてしまった人や、誰かと長い関係を持ち続けている人は、そうだ、そうだと、納得がいく心持ちと、苦々しさを同時に味わうと思う。

抑制が効いた語り口は、端正で、姿勢を正してみたくなるような気分にさせられる。一つ一つのシーンの輪郭がはっきりしていて、それでいてじっくりと味わいたいような濃さ。それでいてスクリーンから漂うのは余裕だ。

登場人物も、展開する舞台装置も限られていて、149分の長丁場。デヴィッド・フィンチャー監督の磨きぬかれた技量は、それを一切飽きさせない。いつまでも見ていたいような気にさせられる。

ところで、ゴーン・ガールのヒットの理由だが、いちばん大きいのは、題材だと思う。デヴィッド・フィンチャー監督は、人気監督でもあり、監督作品は必ず見に行くという人も多いと思う。だが、今までの題材は、人間ドラマ的なものよりも犯罪が関わるものなど、ジャンル映画的作品がほとんどだった。

だから優れた人気映画監督とはいえ、時代を代表するような名監督とはみなされず、アカデミー賞にノミネートされたのも数えるほど。率にすれば男性が好む監督だったと思う。

ゴーン・ガールもミステリー、スリラーの類だから、アカデミー会員の一押しの作品とはいえないかもしれない。だが、男と女の深層や結婚の現実を描いていることを考えると、女性の観客も多いはずだし、満足度も高いだろう。『ゴーン・ガール』は、デヴィッド・フィンチャー監督が真に全国区の監督になった記念の作品と言えるのではないだろうか。(オライカート昌子)

ゴーン・ガール
2014年12月12日 全国ロードショー
公式サイト   http://www.foxmovies-jp.com/gone-girl/

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