© 2013 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
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実話を元にしているという映画は多いけれど、キャプテン・フィリップスほど、元の事件のリアルさを可能な限り追求しながら、映画を見ることの贅沢な喜びも満たしてくれる映画はなかなかないのではないかと思う。サスペンスフルでスリリングなのだ。

監督ポール・グリーングラス、主演トム・ハンクスという豪華な布陣だからこそ、できた贅沢かもしれない。妥協をなくした本物の質感が、映画を目の前で起きている出来事のように見せてくれる。

その本物志向は、細かいところまで行き届いている。たとえば、ネイビー・シールズの隊員たち。初めは、俳優が演じているんだろうと思いこんでみていた。でも、身体の作りの違いが、たまたま役を得た俳優とは思えない感じがあった。筋肉のつき具合とか。狙撃のためにじっと戦艦の上で待っている。そのたたずまいが違うのである。

最後に出てくる戦艦の職員の女性のせりふ回しにも聞きほれてしまった。真実味と職業的無感情があって、俳優の演技だとしたら、凄すぎる。彼女は実際に戦艦の職員で、その朝たまたまその役に起用され、普段やっていることをそのまま映画で再現したという。

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細かなリアルの追求は、ドキュメンタリーや記録映画を目指したものではなく、あくまでも映画としての素材として使われているだけ、というのが、贅沢に感じられるところだと思う。

ポール・グリーングラス監督は、可能な限り本物の吟味された素材を組み合わせ、実際に起きた事件を語る段階では触れられないような広がりのある世界観、深みを帯びたテーマを浮かび上がらせている。

物語の背後にある世界が実感を持って伝わってくる。たとえば、海賊たちの黒幕は映画には出てこないが、彼らはくっきりと鮮やかに映画の背後に存在している。そのせいで、単純な勧善懲悪なストーリーとはなっていない。キャプテン・フィリップスの胆力と、海賊たちの善と悪の間で揺れる心情をじっくりと味わいたい一作。(オライカート昌子)

キャプテン・フィリップス
2013年 アメリカ映画/サスペンス・アクション/134分/原題:CAPTAIN PHILLIPS/監督:ポール・グリーングラス/出演・キャスト:トム・ハンクス(リチャード・フィリップス船長)、バーカッド・アブディ(ムセ)、バーカッド・アブディラマン(ビラル)、ファイサル・アメッド(ナジェ)。マハト・M・アリ(エルミ)、マイケル・チャーナス(シェーン・マーフィー)、コーリイ・ジョンソ(ケン・クイン)、マックス・マーティーニ(SEAL部隊長)、クリス・マルケイ(ジョン・クローナン)、ユル・ヴァスケス(フランク・カステラーノ艦長)、デヴィッド・ウォーショフスキー(マイク・ペリー)、キャサリン・キーナー(アンドレア・フィリップス)ほか/配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
11月29日より新宿ピカデリー他全国公開中
『キャプテン・フィリップス』公式サイト http://www.captainphillips.jp/

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