(c) 2012 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
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 見終えてすぐに、トム・クルーズもいずれ『エクスペンダブルズ』の一員になるのだろうかとはるかな未来を思った。これはもちろん褒め言葉だ。中野豊氏がご紹介くださったように、ジャック・リーチャーは余計なものを何も持たない流れ者のヒーロー。汚い洗面所で着古したシャツを洗い、上半身裸で弁護士ヘレン(ロザムンド・パイク)の前に立つ。彼女はどぎまぎして「何か着て」と言うが、彼は替えのシャツすら持たない。そのことが匂うような男臭さとなってヘレンを誘う。アクションやカーチェイスも水準以上だが、こういうちょっとした男女のかけひきを見ても、この映画はしゃれている。

 人物設定からは厭世観に囚われた男を想像するが、クルーズは自信と余裕が嫌みにならないすれすれのところでうまく造形している。たとえば警察に追われたカーチェイスの終盤、壊れた車から降りたリーチャーはバスを待つ一群に紛れ込む。彼が警察に追われる身だと知った男たちは彼をかばい、隣の男が帽子を脱いで彼に渡す。誰もが脛に傷持つ身で警官嫌いなのだろうが、なによりもリーチャーに対する自然な好意が感じられる。彼は人々に好かれる男なのである。シリーズの開幕だけに、こういうシーンは肝腎なところだろう。

 中野氏もわたしもひいきのロバート・デュヴァルが射撃場のオヤジ役で登場し、リーチャーの父との因縁を語るシーンもうれしい。「陸軍がすがるのはいつも海兵だ、やろうぜ」と言ってクライマックスの実戦に加わるのだから、画面はさらに沸き立ち、わたしは上機嫌である。デュバルは若手をいじりながら引き立てる独特の愛嬌と度量の持ち主だと作り手たちはよく知っている。そういう一団によって作られた映画だということが今後への確かな信頼になる。

 そして忘れてはならないのが、悪役としてシャープに立ち働くジェイ・コートニーの存在。あらかじめ宣伝資料を読まないわたしは宣伝部の女性に教えられたが、なんと『ダイ・ハード/ラスト・デイ』(13)でブルース・ウィリスの息子を演じている俳優だ。こういう精鋭の若手を相手役として受け入れるのもクルーズの自信と余裕だろう。エンディングのおまけ、バスの車内でもめている男女に向かって立ち上がるリーチャーは、厭世家どころか単なる世話焼き男かもしれないと思わせるあたりのコミカルな余情もなかなかのもの。
                              (内海陽子)

アウトロー
2013年2月1日(金)より丸の内ピカデリー他全国ロードショー
2012年 アメリカ映画/上映時間:130分/監督・脚本:クリストファー・マッカリー/出演:トム・クルーズ、ロザムンド・パイク、リチャード・ジェンキンス、デヴィッド・オイェロウォ、ヴェルナール・ヘルツォーク、ジェイ・コートニー、ロバート・デュヴァル ほか
オフィシャルサイト http://www.outlaw-movie.jp/

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