もうひとりのシェイクスピア
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華麗なチューダー朝を舞台にシェクスピアの謎を描く。ローランド・エメリッヒが描くのは、人間内部のディザースターか

シェイクスピアには別人説がある。日本でも本物の写楽は誰なのか、邪馬台国はどこだったのか、など歴史に潜む謎はいくつもあるし、興趣をそそられている人も多いことだろう。

ディザスター・ムービーの巨匠(!)、ローランド・エメリッヒ監督も、シェイクスピアの謎に引きこまれ、囚われてしまった一人だったようだ。真のシェイクスピアは誰かという謎を、絢爛豪華な歴史エンターテイメント作品に仕上げてしまったぐらいなのだから。

シェークスピア作品の真の作者を、オックスフォード伯エドワード・ド・ヴィアとする、いわゆるオックスフォード派の説を土台にし、見ている人を熱気と強い説得力で引っ張っていく。

16世紀末のロンドンを忠実に再現しているし、(特にロンドン橋の上に住居が並んでいるさまは壮観)エリザベス女王の若き日と老いた時代を母娘(ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ジョエリー・リチャードソン)で演じさせるという念の入れようだ。

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オックスフォード伯エドワード・ド・ヴィアは、『ノッティングヒルの恋人』で、ヒュー・グラント演じるウィリアムの同居人で一気にブレイク、最近では『アメイジング・スパイダーマン』でカート・コナーズ博士/リザードでも印象的だったリス・エヴァンスだ。

今までの彼のキャリアを見たら、信じられないぐらいナイーブでインテリジェンス、気品と存在感溢れるオックスフォード伯である。ヴァネッサ・レッドグレーブは、老いて孤独で女王である気迫だけで立っているようなエリザベスを精緻かつ絶妙に演じている。この二人を見ているだけでも満足できるはず。さらに美しい若手俳優も続々登場してくる。

時代は華麗ながら愛憎と陰謀が絡みあうチューダー朝。いつしかドラマチックな結末へと繋がっていく。最後には歴史考証より、エンタメ性が勝ってしまうところは、さすがローランド・エメリッヒである。いつものような世界滅亡のディザスターではなく、『もう一人のシェイクスピア』では、人間の心が誘うディザスター(惨事)を徹底的にえぐりとっているのである。            (オライカート昌子)

もうひとりのシェイクスピア
2012年12月22日(土)より、TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館他全国ロードショー
オフィシャルサイト  http://shakespeare-movie.com/

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