(C)2013 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.
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余韻まで考えた超絶技術!さすがアカデミー受賞監督は違う。

『スラムドッグ$ミリオネア』、『127時間』で実力をガツン!と見せつけてくれたダニー・ボイル監督が「トランス」で披露してくれたのは、職人的超絶技術だ。

名画の行方と催眠術を題材に、ジェームズ・マカヴォイ、ヴァンサン・カッセル、ロサリオ・ドーソンなど、映画好きならぐっとくる玄人好みなキャストを起用し、ひねりやどんでん返しを連発。先行きが全くわからない映画を作り上げた。まあ、映画としては先行きがわかってしまってたら問題なんだけどね。

真昼の名画オークション会場に強盗が乱入。時価40億円のゴヤの『魔女たちの飛翔』が狙われる。競売人のサイモンは、そのゴタゴタの中で名画を守ろうとするが、強盗たちに殴られ、名画をどこに隠したのか記憶を失ってしまう。次第に善と悪が入り乱れ、記憶探索は、思わぬ真相へと至る。

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光景が万華鏡のように変化していく様に、翻弄されるような気分になるのはうけあいだ。同時に、ご機嫌な音楽、色彩やカメラワークの軽快さ、キャストの確かな存在感と演技力の魔力で心地よくもある。

ところが、である。最後までみていくと、この映画が人間の持つ、邪悪な脆さを描いていたことに気づく。映画には様々な形の悪人が登場してくるものの、『トランス』ほど、くっきりとしてリアルで日常的な悪を目にすることはそれほど多くない。

ほかの映画の悪といえば、誇張もあるし、フィクションなんだからと、安心しながらでも見ていられるだろう。ところが、トランスにでてくる悪の形はいつ遭遇してもおかしくないし、場合によっちゃあ自分だってそうなるかも? と思わせる種類なところが怖い。

ラストシーンは印象的で、一度見たら忘れられない類のもの。その後どうなったのかを考えているうちに、悪も恐怖も忘れてしまうかもしれない。爽快な気分で劇場を後にできるのは、エンドロールのトランスミュージックの軽やかな調べのおかげだろうか。余韻まで計算しているのだろう、さすがアカデミー賞受賞監督は違う。

(オライカート昌子)

トランス
2013年 アメリカ/イギリス映画/監督:ダニー・ボイル/出演・キャスト:ジェームズ・マカヴォイ(サイモン)、ヴァンサン・カッセル(フランク)、ロザリオ・ドーソン(エリザベス)ほか/配給:20世紀フォックス/R15+
10月11日(金) TOHOシネマズ シャンテ、シネマカリテ他 全国ロードショー
公式サイト http://www.foxmovies.jp/trance/

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