イラン式料理本の画像
(c)2010 Mohammad Shirvani. All rights reserved.
イラン式料理本は、イランの家庭に入り込んだような、バーチャルな体験をもたらしてくれる不思議なドキュメンタリー。そして、心がほんわか温まる、優しい気持ちにさせてくれる映画でもある。

イランという国にどんなイメージを持っているだろうか? ホメイニ師? それは古いか。石油が出る国。核開発をしている可能性がある危険な国? たとえ、あなたがどんなイメージを持っていようが、『イラン式料理本』を見れば、イランという国の新しいイメージが熟成されるのは間違いないと思う。

バーチャル体験がどんなものかというと、イランの家庭の台所のダイニングテーブルの前に座って、イランの母さんたちの手際がよかったり、悪かったりする料理の腕を見せてもらえるのがひとつ。

(c)2010 Mohammad Shirvani. All rights reserved.
段取りや手際がいいのは、母さん歴が長い人たち。ズルをしたり、見積り時間の倍の時間がかかってしまうのは若い世代だ。モハマド・シルワーニ監督の関係者の台所を通して、時代の変化も読み取ることもできる。

女の本音が爆裂するのも見逃せないポイント。日本と共通しているところはあまりないけれど、共感が、遠いイランとの距離を縮めてくれる。そして最後のオチに唖然とさせられる。おまけとして、レシピは詳しく教えてくれるので、後でイラン料理を食べたければ作ることだってできる。

好奇心が満たされるだけでなく、極上の時間を過ごせるだろう。表面的な旅行などでは絶対体験できない、このバーチャル体験は稀有。劇場でぜひ見て欲しい。
                             (オライカート 昌子)
イラン式料理本
2012年9月15日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー!
公式サイト http://www.iranshiki.com/